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好きなことを好きなよーに書き散らし中。 色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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おま、何やってんのォォォ?!

…というカンジの枝の番外編というか別視点です。
枝は基本主人公視点で行きたいなあ、と。
でも関連してるから似たようなタイトルがいいよなー、じゃあ枝葉で、みたいな。
……みたいな。
ヤヤコシイタイトルツケンナヨ。すいまっせんん!

まあドウゾ一杯。ガキさんスキー様へ捧ぐ精一杯。
ちょっと荒主っぽいカンジがあるので、注意かも?
少なくとも今まで書いてきた枝シリーズの中では一番CPぽい話っす。
そもそもこれまでってほぼ主人公以外の登場人物なかったしな…!





 幼馴染が怪我をしたらしい。
 その怪我をした本人から送られてきたメールは何とも簡潔でイマイチ要領を得ない部分も多かったが、そこは長い付き合いだ。どうやら影時間に一騒動あった挙句の怪我らしかった。
 骨折しただけだ、と書いてあったが荒垣に言わせれば怪我してんじゃねえよ阿呆、と言ってやるに十分すぎる話だ。

 怪我で済んだのは偶々だ。
 それだけで済まなかったらどうするつもりだったのか。
 とは言え幼馴染の病状は本人の言通りそう大げさなものではないらしく、入院ではなく通院という形なのだという。
 今日も病院で気が滅入る、久し振りに飯でも一緒にしないか、と何ともお気楽なメールが来たのは今朝のことだった。
 苦い気持ちを抱きながら、それでも幼馴染の顔を見に病院へ足を運んでしまった辺りどうしようもない。
 無茶をしがちな奴に多少なりとも釘を刺しておきたい、という気持ちがあるのは本音だ。
 世話を焼きたくなるのは性分だから仕方ない。それもあの日からは極力他人と関わらないようにしているから発揮される事は稀なのだけれど。

 荒垣は歩きながらふと、廊下の端を歩く、入院中らしい少年の姿を目に留めた。
 右腕に点滴の針が繋がり、それを押しながらどこか覚束ない足取りで歩いている。
 年は自分よりやや下くらいだろうか。
 細身の体に、表情を隠すように伸ばされた前髪。
 けれどそれがあって尚、どこか人目を引く何かが、彼にはあった。
 決して派手な見た目ではないのに、何故か意識を引き寄せられるような。

「!」

 顔色が悪いな、と思った瞬間だった。
 ふらりとその上体が傾ぐのを目にし、荒垣は思わず彼との距離を詰めていた。
 腕を掴み、倒れ込まないように支える。

「オイ、大丈夫か」
「……っ」

 問いに返ってきたのは、喉を震わせるように息を呑む音だった。
 近くで見ると彼の顔色の悪さはハッキリと分かった。
 紙のように白い、顔。どうやら貧血らしい。

「ゆっくりしゃがめ。出来るか」

 ともかくこのまま立たせておくのは良くないだろうと、言ってみる。
 最悪動けないと言われたとしても、彼の体格くらいなら支えられそうだった。
 だが荒垣の問いに、少年は僅かに頷いてみせた。
 言葉を紡げない状態にありながらも、意思はしっかりしているらしい。
 見た目の線の細さとは裏腹なそれに内心で感心しながら、彼が座り込むのに手を貸してやる。

 どきりとさせられたのは、間近に在る彼の眼を覗いた、その時だ。
 伸ばされた前髪の合間から覗く、眼差し。
 貧血の所為で視界が儘ならないのだろう、焦点がどこか曖昧なその目。
 それを見た時、何とも言えない心地になった。
 今すぐにでもこの手を離して距離を取りたいと思う気持ちと、その瞳をもっと近くで覗き込みたいという気持ちと。
 相反する気持ちが同時に湧き起こった。

 深い色の眼だ、と。
 ただそう思った。
 絶望も希望も哀しみも歓びも、すべて抱え込み内包しているかのような。
 そんなことを思ってしまうのは、彼の表情に何も浮かんでいないからかもしれない。
 顔色は悪いものの、眉が寄せられているわけでも瞳が揺れているわけでもない。
 淡々と、自身に訪れた異常でさえ傍観しているかのように。

「ありがとう、ござい、ます」

 やがて落ち着いたらしい少年が、途切れがちの声で言った。
 伏し目がちに告げる様も、その声も、どことして特別なものはないのに。
 何故その眼差しばかりがこうも意識を惹きつけるのだろう。

「いや。平気……そうじゃねえな、その顔色じゃ」
「……すいません」

 見れば点滴のチューブが真っ赤だった。
 点滴の最中に血液が逆流してしまったらしい。

「看護師呼んでくる。座ってられるか」
「はい」

 座ったことで落ち着いたのか、受け答えする声も段々と明瞭なものになってきている。
 本人も頷いたことだし、大丈夫だろう。
 そう判断した荒垣は、掴んでいた腕を離した。
 段々と光が戻ってきたような眼を見て、その眼差しから逃れるように踵を返す。
 あの、深い色を湛えた瞳を真正面から見据えるのは、何故だか躊躇われた。

 歩きながら、彼の腕を掴んでいた手に視線を落とした。
 誰かの体温に触れたのはひどく久し振りのことで、その熱が未だ掌に残っているような気がする。
 思わず振り返りかけ、けれど苦い表情でそれを押し止めた。
 きっともう関わることのない人物だ。
 そう思いながら、荒垣は些か早足で看護師を呼びに行ったのだった。

 ……その考えが外れることなど、微塵も予想しないまま。
 時も、感情も、動き出す前の話。


END


あれーぇ? 長くなっちったー。
てゆか何だろ、一目ぼれっすかー、みたいな。(笑)
いやちゃんと色々理由あるんですけどね。
離れたいと思ったのは凌の中にデスがいるから人間の本能で、とか。
体温が残ったように感じたのは少なからず自分と似たような雰囲気を感じたから、だとか。
でもまぁその辺は想像で補完してくださればイチバンいいかな、と。
捏造は座右の銘です。
荒主スキー同士様方にお楽しみ頂ければ幸いです。

蛇足として。
真田先輩が五月に検査入院、とか言ってたので勝手に通院にしてますがどうなんだろう。
骨折した事ないので分かりませんが結構歩き回ってたので平気なんだろうか、と。
そんでもまあ怪我してすぐだしちょいちょい病院来てるかな、という上での荒垣さん訪問です。
そうすると入院病棟に通されるのかは微妙なんですが、まあその辺はご都合主義で。
 

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