好きなことを好きなよーに書き散らし中。
色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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今年はP3year!
第二段。調子に乗って。
今日の影時間から本編なんだよなー、とか思うと何か感慨深い。
別にシリーズ化するつもりはなく、単にテンション上がった結果の産物なんですが。
第二段。調子に乗って。
今日の影時間から本編なんだよなー、とか思うと何か感慨深い。
別にシリーズ化するつもりはなく、単にテンション上がった結果の産物なんですが。
周囲の明かりが消えた瞬間は、停電でも起こったのかと思った。
それがどうやら違うらしいと気付いたのは、耳にかけていたヘッドフォンからふつりと音が途絶えたからだ。
出発する直前まで充電をしていたから、電池切れはありえない。
まさか故障かと溜め息を吐きながらヘッドフォンを外し、そこでようやく辺りがやたら静かなことに気付いた。
あまりの静けさに、どうやら尋常ではないのだ、と理解する。
突然の停電ならば、もっと人がざわついているはずだから。
声がしない、それだけではなく殆どの音がしなかった。
人の声も、車の音も、何一つ。
おかしな場所に入り込んだ、もしくは常ではありえないことに巻き込まれたか。
駅の改札を出たところで立ち止まった凌は暫し考えていたものの。
やがて寮への案内図を取り出すと、歩き始めた。
何が起きたのか考えていても、おそらく原因の究明は不可能だろうという結論に至ったのだ。
分からないことに構っていても仕方がないし、今の所実害はなさそうだった。
それなら当初の目的通りに行動しても問題はないだろうと踏んだのだ。
見たところ人の姿は見受けられず、道に迷っても誰かに尋ねるということは出来なさそうだが。
幸いにも方向音痴ではないのでなんとかなるだろう。
歩きながら判断したのは、やはり何か尋常ならざる事態に陥っているらしいということだった。
行けども行けども人影はなく、耳に痛い静寂が広がるばかりだ。
人がいない代わりに、棺のような形のオブジェがあちこちに見られる。
異様なほど大きな月にそれらが照らされている光景は、どこか異世界に踏み込んでしまったかのような気分にさせた。
これでゾンビとかモンスターだとか出てきたらまるきりゲームの世界なんだけどな。
もしくはファンタジーか。
などと呑気に考えながら、凌は初めて歩く街をまるで迷う素振りのない足取りで進んでいく。
地図があるというのが大きな要因だが、元々凌は土地勘が良かった。それに加え、記憶力もいい。一度歩いた道ならば凌の脳内地図に記録され、次歩く時には大体困らない。
それはあちこちを転々としているうちに自然と身に付いた特技とも言える。
自宅や学校、店などの場所を覚えるのはその土地での生活に馴染むことへの第一歩だ。
この街はどうだか知らないが(何せ人がいない)、今まで訪れた土地の中にはあからさまに余所者への奇異の目を向けてくる場所もあった。
そんな目を避けるには、ともかく毅然と前を向いているのが一番なのだ。
不安げ、もしくは不審そうにきょろきょろしていれば余計なトラブルを招くことだってある。
例え訳が分からなくとも、自分のペースを見失わないこと。
それが凌の基本姿勢であり、処世術でもあった。
……ハッタリと言われればそれまでというか、否定もしないけれど。
顔にあまり感情出ないのも効果的だったりするし。
などと自己分析をしながら歩いているうちに、どうやら目的地に辿り着いたようだった。
「……ここ、かな」
珍しく声に出して確認してしまったのは、寮であるというその建物が想像していたものと違っていたからだ。
寮というからにはもう少し無機質な、学校や病院といった風体のものを考えていたのだが。
今凌の目の前にあるのは、どちらかと言えばホテルや外国風のアパートといった外観だった。
ややレトロな雰囲気ではあるが、そこがまた独特の風合いを醸し出している。
悪くない、と思った。
「住所、ここだよな……」
ドアの前で立ち止まり、さすがに少し逡巡した。
誰かに尋ねようにも相変わらず周囲に人の姿はなかった。
ややあって、凌は溜め息とも深呼吸ともつかぬ息を吐き。
意を決したようにドアノブに手をかけた。
扉の向こうに何が待っているかなんて、知らない。知る由もない。
天国だろうと地獄だろうと異界だろうと、何にせよ同じだった。
凌にとって知らない場所だ、というその一点において。
そして凌には、その一つが全てだった。
……元々、手持ちのカードなんてあまりないのだ。
扉を押した。
軋むような音を立てながら、ドアが開いていく。
明かりが点いていないせいか、見えてきた内部は薄暗い。
闇に飲まれるみたいだ。
そう思いながら、凌は中へ向けて足を踏み出した。
END
凌クンによる初影時間体感記。
この後ファルに会い署名をし、さらにゆかりと美鶴に会うわけです。
いやでも実際影時間って異様というか不気味というか。
その街中をマイペースに歩いてきた主人公クンは肝っ玉太いよなぁ。とね。
凌くんには、知らない街も知らない異界も一緒だったんだよ、という話。
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