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好きなことを好きなよーに書き散らし中。 色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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ハローハロー。
世界よコンニチハ。

だって折角P3Yearなんだもん。
というわけでまたもや。

 



 陽光の下で見る景色は、どこにでもある街並みだった。
 昨夜のゴーストタウンのような様相が夢か幻であったかのように、人や車が行きかっている。
 安堵したのと同時に少し、拍子抜けした。

「けど、夢じゃ、ない」

 記憶を掴み手繰り寄せるように、小さく呟く。
 いっそ夢か幻覚だったのだと言った方が健全なはずの光景を、胸の内のどこかが絶対的な強さで主張しているのを感じるのだ。
 あれは確かに、現実だった、と。

 忘れるな。
 あれが世界のもう一つの形。もう一つの世界。
 真実の、真理の傍らにある、狭間の世界。

「……っ」

 言葉が、思考がまるで自身のものではないかのように溢れた。
 自分の中に自分ではないもう一人がいるかのような、感覚。
 何が起きたのか分からず、手で頭を押さえる。
 奔流のような言葉は一瞬で治まったが、今まで味わったことのない感覚に凌はしばらく頭を押さえた格好のまま動けずにいた。

 ややあってから、軽く頭を振ってから手を離す。
 昨夜のこともあって意識が高揚しているのかもしれない。
 人のいない街。
 静寂。
 棺のようなオブジェ。
 妖しく煌めいていた月。

 何故だろう、思い返すと胸がざわついた。
 落ち着かないような、それとは正反対に安堵しているかような。
 相反する気持ちが同時に湧き上がる、不可思議な心境。
 明るい光の下で見る限り、ありふれた街なのに。

「……どうでもいいか」

 あの現象が何だったのか、何故こんな気分なのか、気にならないといえば嘘になる。
 だが、考えて分かるようなことでもないだろう。
 自分が答えの出ない問いに思考と時間を費やし続けるようなタイプではない事を、凌自身が一番よく知っていた。

 ともかく今日から学校だ。
 新学年の始まりと同時期での転校だから、中途転入に比べれば目立たないだろう。
 部屋を出る前にリボンタイが曲がっていないかチェックするべく備え付けの洗面台、その鏡の前に立った。
 鏡には新しい制服を着た凌と、その背後が写っている。
 見えるのは窓際にある机と、壁際に置かれたベッド、その足元に置かれたテレビだ。

 タイを指先で直そうとした瞬間、凌は鏡に映る光景に違和感を覚え動きを止めた。
 昨日から入ったばかりの部屋は、自分のテリトリーと言い切る程に馴染んだわけではない。
 それでも何かがおかしいのだけは分かった。
 或いはそれを感じ取ったのは本能という部分だったのかもしれない。

 ベッドの前に、人影があった。
 小さな背。囚人服のようにも見える、黒と白のストライプ模様の服。
 短めの黒髪に、青い目。

 それは、昨夜寮の玄関で出会った子供だった。
 あの後ゆかりに尋ねたが、この寮には子供などいないらしい。
 いないはずの子供と交わした言葉。
 求められた署名。
 あれは何で、彼が誰なのか。

「っ!」

 息を呑み、弾かれたように振り向いた凌だったが、いざ向きを変えたそこには誰もいなかった。
 部屋を見渡してみても、子供の姿はどこにもない。隠れている様子もない。
 朝の光がただ窓から差し込んでいるばかりだった。

「疲れてるかな……」

 環境が変わることには慣れているとは言え、今回は何だか普通ではない事が続いている。
 繊細とは言い難い自分も流石に疲れが出たのだろうか。
 考えながら鏡に向き直った凌は、何とはなしに指で鏡の表面に触れていた。
 触れた場所は、先ほど子供が立っていた位置だ。
 聞きたい事が、あったのに。
 そうして佇んでいると、部屋のドアがノックされた。
 ドアを開けるとゆかりがいて、学校まで案内してくれるという。
 迷うようなことはないだろうが、折角の申し出を断る理由もなく頷いた。

 部屋を出る直前にもう一度見てみたが、やはりあの子供の姿はなかった。


END



思いついちったので調子乗りまくり三本目。
いや、やらないですよ?
ゲーム沿いに書いてくとか無理ですからね、やらないっすよ?
電波受信したらというか、見えたら出来る限り対処はしたいですが。

なんか段々これをS7に繋げたくなってきたなぁ……
いやホラ、私にとっては荒主デフォなもんで★
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