好きなことを好きなよーに書き散らし中。
色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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学校の屋上から見える景色は、凌が気に入っているものの一つだった。
その景色を眺めながらゆっくりと息をする。
けれど、体を包む疲労感も倦怠感も、それだけでは消えてくれはしなかった。
「……いい天気だね」
「そうですね」
日の光が眩しい。
暖かな陽光は、煌めきながら街並みを照らしている。
春めいた日差しのせいか、段々と眠くなってきた。
小さく欠伸をするのと同時に、ふらりと上体が傾ぐ。
反射的に足先に力を込めて倒れることを防いだが、体を誤魔化すのもそろそろ限界なのかもしれないと悟った。
「凌さん、座りましょう」
気遣うように言ったアイギスが、凌の腕を引いた。
頷きながら覗いた空色の瞳には、どこか不安そうな色が宿っていた。
アイギスには不調を気づかれているのだろうと思うと、申し訳ない気がした。
力の入らない手足。
抜けない疲労感。
誰に言われずとも、自分の体の調子は自分が一番よく分かる。
自分の命の灯は、もうきっと残りわずかにしか瞬かないのだ、と。
座り込むと、体の力が抜けていくのが分かった。
疲労感に代わり、眠気が強くなる。
ぐらりと揺れた体を、アイギスの手が支えてくれた。
そのまま体を横たえられ、所謂膝枕の体勢になる。
順平辺りが見たらうるさく言いそうだなあ、と思いつつ起き上がるだけの気力はもはやなく。
ありがとう、と言う代わりにアイギスに笑いかけると、微笑みを返された。
ぽつりぽつり、アイギスが言葉を紡ぐ。
不安と寂しさを抱えながら、それでも懸命に笑おうとするアイギスは、凌の目には誰よりも人間らしく感じられた。
きれいだな、と思う。
音もなく零れる涙も、泣かないでと告げた言葉に、必死に笑ってくれるところも。
命はただ暖かくて、きれいだ。
だけどそれは、あまりに近くにあり過ぎて、皆が気付けずにいることなのかもしれない。
俺だって。命の在る世界がきれいなんだって事に、今ようやく気付けたんだから。
「アイギス」
「はい」
「色々あったけど……世界は、きれいだって、思うよ」
瞼が重い。
笑ってみせたいのだけれど、上手く顔が動かせているかは分からなかった。
視界が覚束ない。
このまま眠ってしまえばもう目覚めないのだと、何故か分かっていた。
それでも、体を包む眠気は抗えないほどに強く。
目を伏せる。
アイギスの指が髪を撫でる感触が、少しずつ遠のいていく。
足音が聞こえたか聞こえないか、と意識しかけたところで。
凌の意思は、溶けるようにふわりと白く、なった。
アイギス。
きれいだと思った世界には君もいるんだって。
伝わってると、いいんだけど。
いつか、君も。世界をきれいだと思える日が来る。
その時に、どうか幸せな心地であるように。
俺は、そう願ってる。
END
PS2版をクリアした時にもやっぱりこの二人で書いてました。
昨日まで、というか日付変わっても雨だったのに、今日はすっきり晴れました。
今までの満月でもほぼハッキリ見えてて、それだけでもゾクゾクしてたのに。
最後の最後まで、やってくれました。
今頃屋上かな、とか。
皆思いだした頃かな、とか。
晴れ渡った空を見ながら、あのコは何を考えただろう、とか。
今日の昼は、そんな事をつらつらと考えながら過ごしてました。
今日だけじゃなく、2009年はそこかしこで彼らは今頃どうしてるかなーと考え、なんだかくすぐったいような、とにかく楽しい、幸せな気持ちで過ごさせて頂きました。
空模様とかがかなりリンク率が高くて、どこかで本当に彼らが頑張ってるんじゃないか、とも。
今はともかく、1年間ありがとう、
おつかれさま、といいたいです。
しかしながら。
残った人たちの明日は続いていくわけでして。
かつうちの設定の荒主連載もまだ完結していないわけで。
今しばらくは彼らと向き合わせて頂こうかと思っています。
たくさんのありがとう、と。
これからもよろしく、をこめて。
…しかしラストのBGMが「星の生まれる日。」とか…
空気読み過ぎだろう色々とォォォッ!
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