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◆P3・荒主二人より諸注意◆
「あーえーっと、何だって?」
「あ、俺カンペ貰ってます。はい」
「お前自分で読む気ないのな……」
「モチロンです」
「そこは自信満々に頷くトコじゃねえ。あーっと、この話はサイトで連載している"零時ちょうどに以下略"の番外編です。話がある程度進んでから拍手などで出すつもりでしたが、色々ネジが吹っ飛んだりしたので蔵出しします。……だとさ」
「色々、ですか」
「ああ、まあ……色々、だろうな」
「ハロウィンだからですかね」
「いや、多分関係ねえなそりゃ。まあ、つーわけなんで」
「よろしくお願いします?」
「いや疑問形じゃなくていいトコだろ、そこは」
「荒垣さん、ただいま帰りました」
「おう、早かったな?」
「そうですか? あー……そうかも」
何やら思い当たることがあったらしい凌が、手にしていたビニール袋の中を漁る。
そうして彼が荒垣の目の前に突き出したのは。
「……アイス?」
「半額でした。甘いの、大丈夫でしたよね?」
「まあ、平気だけどな。なんでまた今の時季にアイスだよ」
「お菓子売り場とかが、やたら目を引いたんですよねえ。オレンジ色で」
言いながら凌が手渡してくる食材を冷蔵庫に詰めていく。
アイスは、この後食べることになりそうなので横に置いておいた。
凌の言ったオレンジ色、が何のことだか分からずに一瞬考えて、すぐに思い至った。
そうだ、今日は。
「ハロウィンか」
「Trick or Treat、とは流石に言えないので。せめて甘いものでも食べておきたいな、と思いまして」
「別に言ってもいいと思うけどな。何なら言ってみるか?」
「イタズラが思いつきませんから」
どうやらティータイムにするつもりらしく、マグカップの用意をしている。
凌が買ってきたのは、普段は買うことのない高めのアイスだった。
小さな容器が、いかにも高級そうなデザインに彩られている。
「そういや俺、これは初めて食べるな」
「実は俺もです。……ということで、味がイマイチだったらごめんなさい」
「ま、偶にはいいんじゃねえか」
荒垣の言葉に、凌が笑う。
ドルチェ、とは確かデザートを意味する言葉だった。
元々の意味は、デザートを示すことからも察せられるように甘い、や甘美な、というものだ。
紅茶の準備を、どこか嬉しそうな顔でしている凌を見ながらふと思う。
甘美な、というのなら、それは。
「外れだったら、食後に何か作ります」
「……それだと外れてる方がいいと思っちまうだろ」
二人並んで食べるドルチェは、きっと何より美味だろう。
数分後の未来を予想し、荒垣はふと笑う。
たとえば幸せというものが、本当に甘いというのなら。
きっとこの時間そのものだ。
これ以上に甘くて優しいものを、自分は他に知らない。
HAPPY HALLOWEEN!
ドルチェはまあ、某有名アイスです。
元々考えてた話にハロウィンミックスして出してみました。
うーちのコらはきっとずっとマイペーェェス♪