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好きなことを好きなよーに書き散らし中。 色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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書きたくなったので書いてまえー。
てゆかこう、ね。
思いついて形にならないものに日の目を見させてやりたいなー、とか。とかとか。
ってなわけでSSです。
P3です。
パラレルです。


「若君」
「……真次郎さん」
「そろそろ戻りませんと、風邪を召されます」

 そうですね、と。
 いつもなら、いつもの自分ならそう頷けた。
 彼に心配をかけたいわけでも、迷惑をかけたいわけでもない。
 聞き分けのない子供のようなことなんて、言いたくない。なのに。

 凌の手は、荒垣の腕を掴んでいた。
 行かないで。
 どこにも、行きたくない。
 今はただ、この場所で。
 他の誰もいない、この場所でなら。

「名前、呼んでくれませんか」

 あの頃みたいに。

「……凌」

 少しだけ困ったように、それでいてどこか気遣うように。
 名を、呼ばれた。
 たったそれだけのことで、この心がどれだけ震えるか。満たされていくか。
 きっとこのひとは知らないのだろうと、思った。

 伝えるつもりのない想いは重く、儚く、さりとて手放すことも出来ず。
 それでも、この声が傍らで呼んでくれるなら。
 ただそれだけの事で、きっと馬鹿みたいに幸せな心地になれるのだと。

「ありがとう、真兄」
「……帰るぞ」
「うん」

 だから、呼んでください。
 時々でいい、この名を。あなたの声で。


END


大正辺りの、身分制度が色濃く残っている時代もので。
自作の執事服ネタで書いた「ご子息主人公と執事荒垣」から派生させてみたり。
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