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好きなことを好きなよーに書き散らし中。 色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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どうしても書きたかった、日。
なんて大げさなものでもないんですけど。
枝葉二本目。
前作同様、やはり彼視点で。




 話がしたい、と幼馴染みに呼び出された先は、あろうことか病院だった。
 先月怪我をした関係で、検査入院とやらをすることになったらしい。
 一通り話を終え、幼馴染みこと真田が席を外した、丁度そのタイミングで病室に来客が訪れた。

 人数は三人。
 男が二人と女が一人。年齢的にはまだ少年と少女、と呼ぶべきだろう。
 三人ともが月光館学園の制服を着用している。
 少年の一人、キャップを被った方が途惑ったように荒垣に問いを向けた。
 だがそれに口を開くより早く、真田が戻ってくる。

 三人が真田を振り向き、会話を始めた。
 言葉から察するに、どうやら後輩になるらしい。
 とは言え、もうずっと制服に袖を通していない自分が先輩に当たるのかといえば微妙だとは思うのだが。

「アキ、もういいか?」

 椅子から立ち上がり、言う。
 そもそもこちらの要件は済んでいたのだ。長居する必要はない。

「ああ、参考になった」
「ったく……いちいちテメェの遊びに付き合ってられるか」

 言い捨て、この場を立ち去るべく足を踏み出す。
 三人、いや真田も含め四人分の視線を感じはしたが、いちいち答えてやる義理もない。
 キャップを被った少年が、慌てた様子で道を開けた。
 威嚇も威圧もしたつもりはないのだが、自分がただ立っているだけで高圧的に見られるのには慣れていた。

 すれ違いざま、ふと視線が向いた事に理由はなかった。
 強いていえば何となく気になった、それぐらいの事だ。
 病室に入ってきた三人の中で、一人だけ。一度も口を開いていなかった人物。
 そのくせして、存在感が希薄というわけでもなく。
 何となく、意識を引かれた。

「……」

 目が、合う。
 伸ばされた前髪、その隙間を縫うように。けれどまっすぐ、視線が向けられていた。
 色素が薄いのか、灰色がかったようにも見える、光彩。
 どこかで、そう感じすぐに思い至った。

 先月だ。
 真田が怪我をして間もない頃、荒垣はやはりこうして病院を訪れたことがあった。
 その時、廊下を歩く患者らしき少年と見えていた。
 より正確に言うならば、ふらついていた彼を支えた、という話なのだが。

 あの時は貧血で視界すらも覚束ない様子だったから、荒垣の姿を捉えていたとは思えない。
 それにも関わらず、彼の眼はただまっすぐに荒垣に注がれていた。
 何かを見据えようとするかのように、或いは何かを言いたげに。
 そう感じたのは錯覚か、それとも。
 だが、視線が絡んでいたのは一瞬だった。
 荒垣は半ば無理矢理に目を逸らし、何でもない様子で病室を出た。

 残された病室では、自分が何者なのかと会話がされているだろうか。
 だが、そんなことは自分には関係ないし、どうでもよかった。
 これから関わり合いになるつもりなど、ないからだ。

 ……ただ、一つだけ。
 予想外の邂逅に、驚いたのは事実だ。
 あの時何故彼が入院していたのかは、知らない。
 だが、彼の瞳はあの時と何ら変わらなかった。
 焦点が結ばれていて尚、深い色をしていた。
 いや、真正面から見据えられると、より一層その深さが際立っていたようにさえ思える。

 この再会に意味があるのか否かなど、分かりようはずもない。
 必要最低限の人間以外とは、関わり合いにならないと。そう、決めているのに。
 何故か、じわりと手のひらに熱が蘇ったような気がしていた。
 それがあの日彼に触れた場所だと、すぐに気付く。
 気づいた瞬間舌打ちしたくなった。

 それでも尚、消えない熱。
 同時に脳裏を過ったのは、あの何とも言えない色の瞳で。
 荒垣は眉間に皺を寄せ、強く掌を握り込んだ。


END


ゲーム内では初遭遇、な5/1です。
うきうきしてました、あっはっはっ。
なんだかコレ、気づいたらものっそい荒>>><主なんですけど…
あれ、ちょ、凌くんからのベクトルが分かりにくい!
こ、これから何とか、したい、なぁ…出来るのかなぁ…(ぇー)
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