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好きなことを好きなよーに書き散らし中。 色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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◆小話詰め込み3本勝負◆



 ……あ、まただ。
 また、話してやがる。

 視線の先、歩きながら会話をしているらしい二人の姿。
 片方は毎日のように見ている、最早助手なんて言葉じゃなまぬるい、家族扱いしてしまっている少年と。
 もう片方は、人目を引く黒服に明るい色の髪の。

「なんなんだかねえ……」

 志村新八と、沖田総悟。
 この、年が近いくらいで性格も性質も何もかもが違うとしか思えない二人が。
 ここのところ、何故かよく一緒にいるのである。
 よく、というと語弊があるかもしれない。実際銀時が二人が共にいるのを目にしたのは今を含め三度目だ。
 回数だけを見ればそうでもないが、問題はそれを二週間で見た事である。
 接点のない人間同士が顔を付き合わせるには、多過ぎる頻度だろう。と、少なくとも銀時はそう思っている。

 何か言った方がいいのかねー、と思いつつ、けれどこういう場合には何をどう言うべきなのか。今までに経験がないことだから、どうにも対処の仕方が分からない。
 大体、いちいち口を出すというのもどうかと思ってしまうのだ。
 同じ年頃同士で何となくつるむ、それが悪いことばかりではないと知っているから。
 うーん、と少し考え込み、やがて銀時はがしがしと頭をかいて。

「ま、よくねー遊びにでも誘われなきゃそれでいっか」

 なんて、我が子を見守る保護者のように呟いてみたりしてしまうのは。
 視線の先の二人が、何だかんだで楽しそうだから、だったり。
 …まあ、考えるのが面倒になった、というのもあったりするのだけれど。


沖新を見る銀さん。




「みーはし」
「う、あ、水谷、くん」

 携帯を両手で持っていた三橋は、呼びかけに顔を上げて。
 水谷だと分かると、ふっと緊張を解いた。

「メール?」
「うん。俺、打つの遅い、から……」
「えっとー、それって相手さ」

 ハルナさん?
 周囲に人影はないのだが、つい小声になってしまう。
 三橋は水谷につられたのか、やはり小声でそうだよ、と返した。
 嬉しそうに眦を緩め、ふにゃり、とかへにゃり、という擬音語が聞こえてきそうな表情で。

 三橋はきっと、今自分がどんな表情をしているのかなんて分かっていないのだろうけれど。
 嬉しそうな幸せそうな、小さい子が宝物を抱え込んでいる時のような、顔をみて。
 ああ、好きなんだなあ。嬉しいんだろうなあ。
 しみじみと、そう思えた。

「けどちょっと意外」
「? え、と?」
「ああゴメン。いやあの人さ、メールとか面倒くさがりそうだなーって」
「そう、かな?」
「まあ見た目だけの判断なんだけどね?」

 だって結構メールしてるよね、最近。
 言えば、三橋は少し考えるように視線をうろうろさせて。
 その仕草一つとっても、違いが分かるようになってきたのは偏に付き合いの長さと、理解したいという思いの賜物だと思う。ちなみに今の三橋が視線をさまよわせているのは困っているからではなく、水谷の言葉への解答を思案しているのが理由だったりする。

「一日おき、くらい、かな」

 そんなに?
 と言いそうになったのを何とか呑み込んだ。
 三橋の事だから、どんな言葉がきっかけになってどんな行動を起こしてしまうか想像ができない。それはつまり、下手な事は言わない方がいい、という。
 本人が嬉しそうなら、余計に。

 見た目通りに独占欲の強そうな人だけど。そんでもまあ、あの人なりにちゃんと三橋に向き合ってくれてるみたいだから。
 よしとしとこう。
 俺らのエースを泣かそうもんなら、西浦野球部一致団結で報復しますんで。
 …なんてことはまあ、本人相手には絶対言えないので心の中だけでこっそり思っておくことにする。

「良かったね、三橋」

 水谷の言葉に、三橋は首を傾げつつも。
 うん、と嬉しそうに頷いたのだった。


ハルミハを生ぬるく応援する水谷。





 報われない恋なんてするもんじゃないなあ、なんて。
 使い古された言葉なのだろうけれど、例えば恋じゃなくたって。
 抱かなきゃよかった、気付かなきゃよかった、その方がきっとずっと楽だしやりやすかった、そんな想いってのは多かれ少なかれ存在する。
(視線の先には紅と金色が肩を並べて)

 恋でも、愛でもないなら。
 この気持ちは何なんだろう。考えても考えても答えは出なくて。
 行き場のない感情を吐き出すように、ため息と一緒に呟くのは。

「……アッシュ」


アシュ←ルク。悶々と悩む。

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