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好きなことを好きなよーに書き散らし中。 色々オタぎみなので、取り扱いには要注意かも?
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自分的球/団/擬人化の彼らで、ちょっと考えてしまった話。
カテゴリ擬人化にちょろっと置いておく。
だって考えちゃったんだもー!

 




 秋の夜長、などという言葉があるように、秋の夜は長い。
 物理的に長いのかどうかは知らないが、穏やかな空気と静けさ、りりりり、と鳴く虫たちの声。
 全てのものが静かで、色々と考えが巡る。
 それは外の音が聞こえてこない、高いビルの上でも同様らしい。
 何をするでもなく外を見ていると足音がして、福岡はゆっくりと音の方向へ目を向けた。
 歩んでくるのは知った顔だった。

「福岡じゃない。何やってるの」
「ああ、中日殿か。久し振りだな」
「うん、久し振り。いいの、こんな所にいて」
「監督殿を応援していたのは皆一緒だろう。支えてくれるファンが一人でも多く入れるように、私は遠慮した」
「相変わらず真面目というか堅いというか」
「そういう性分だ。仕方ない」
「本拠地でのラスト試合だっていうのに……」

 苦笑した中日が、失礼と言い置いてから福岡の隣に座る。
 福岡は彼から目線を外し、最初にそうしていたように窓の外に目を向けた。
 見えるのは夜景だ。ビルやマンション、街灯や車、様々な光がひしめき合って、見るも煌いた光景を創り出している。
 美しいものだ、素直にそう思った。
 何が起ころうと、どれだけ悩もうと悲しもうと、世界は回る。
 それは変わりようもない世界の事実だ。

「……行っとけばいいのに」
「私が行こうが行くまいが、変わらない。私たちは球団だ。存在していなくてはならない。だが人事に口は出せない」
「知ってるよそんな事。でも、それと今行かないのとは違うと思うけど?」

 福岡は中日の顔を見なかった。
 だから、中日がどんな顔をして言ったのかは分からなかった。
 声を聞く限りではその声はいつもの彼の調子で。
 中日はいつでもそうだ。穏やかな調子で何を考えているのかいまいち掴めない。
 けれどこんな時に、常と変わらないというのはありがたく思えた。
 何よりそれでこそ中日らしい。

「今日、勝っても負けても」
「うん」
「私たちは皆、監督に感謝をするだろう」
「うん」
「選手もファンも、関係者は皆一様にだ」
「うん」
「そうしてまた、来季には新たな監督を迎えて勝つ為に邁進していくだろう」
「うん」
「惜しみない感謝と、別離の哀しさが同時にやってくるのは、複雑だな」
「うん。皆、いずれ去っていく」
「だが、出会いもある」
「そうだね。今季は奮わないけど、強くなったもんね、福岡」

 来年も油断しないでおかないと、などと軽い調子で言って、中日は立ち上がった。
 福岡が改めて顔を見ると、やはりそこに在ったのはいつもと同じような穏やかな笑顔で。

「……来年は、頂点を競い合いたいものだな」
「そうだね。君もそろそろ帰ったら?」
「スポーツニュースが完全に終わる頃に、な」
「だから、行っとけば良かったのに」
「行かんと言っただろう」
「名古屋まで離れないと行っちゃいそうだったくせに」
「……中日殿、少し歯に衣着せてもらえないか……」


END


王/監督、ありがとございました。
な擬人化ども。
初の擬人化でSSだったり。実は楽しかった。
そして西/武……今日も負けてやがるしぃぃぃ!!
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