No re:pray

◆P3・主人公・時間軸不定(ラスト近く)◆

　俺は……俺は、神になんて、祈らない。
　いるかどうかも分からない神になんて、祈れない。
　ずっと昔に死んでしまった人だって、一緒だ。
祈ったって、何にもならない。
　だって人は、生きてるから凄いんだ。生きてるってだけで、強くて、綺麗で、尊くて、愛しい。
　だから、俺が祈るなら。
　それが赦されるなら、今を生きてるひとにだ。
　俺の周りにいる、大切なひとたちに、だ。

　俺の心の中にいる、俺を支えてくれている、そんなひとたちにだ。
　世界が美しいかどうか、なんて、俺は知らない。知りたいとも思わない。
　ただ、生きて、誰かを想っていられる事が、凄い事だと。そう感じるだけだ。
　ずっとずっと、流されながら生きていただけの俺にさえそう感じさせてくれた世界が、ただ哀しいばかりじゃないって。
　そんな風に、思っただけだ。

　だから俺は、祈らない。


END